物語は、単純に読み聞かせるだけじゃ、もの足りない構成になっています。その代わり、「あ?ここにクマがいるよ!」「ママのおにぎりは??」など会話が生まれる仕掛けがたくさんあります。未完成だからこそ、脱線する。未完成だからこそ、おはなしする余地がある。対話を楽しんでください。
都度、立ち止まって。都度、子どもの疑問や質問をたくさん聞いてあげてください。質問がない?そんなわけないですよ。質問したっていいんだ。そういう言葉をかけて、そういう間をつくってあげて、そういう空気をつくってあげてください。集中して読まなくていい、聞かなくていい。こどもは、それが、きっとうれしい。
正しく教えるよりも、ラフに問いかけてあげてください。正確な知識より、一緒に考えてあげること。理解するより、感じること。想像力で、世界をぐんぐんひろげてあげてください。知っているよりも、知りたいという知的好奇心を育むこと。この本はそのために作られています。
楽しい物語それ自体もいいですが、こどもは好きなオトナとたくさん、ゆっくり、遊んだり話したりしたいもの。本書はその時間をつくるための、媒体に過ぎません。自分はどう?あなたはどう?と話したり、隠れキャラを探したり、探すページでかるたみたいに遊んだり、ゆっくりたっぷり楽しめる仕掛けがしてあります。
おにぎりはどこからきた?⇒お米はどこから?⇒稲の種は?⇒種は誰がどこでどうやってつくっているの?⇒種をつくる人も、種をお店に運ぶ人も、運ぶ乗り物をつくる人も、乗り物が通る道をつくる人も・・・・あれれ?そうやって考えると、わたしが食べたおにぎりって、100人以上、いやいや1000人以上、いやいや世界中が関わってるんじゃない?世界ってすごいんじゃないの?おにぎりのしゃけだって、クマが食べすぎちゃったら、わたしのおにぎりの具がなくなっちゃう?あれ、わたしがしゃけおにぎり食べすぎちゃうと・・・クマの分はなくなっちゃう?などなど。想像できる限り、想像してみてください。世界はつながっているのだから。
ちなみに、イマ、着ている服はどこからきたの?飲んでる水は?コップは?テーブルは?ふと、自分に直接関係する、イマ関係しているあらゆることについても質問してあげてください。一緒に考えてあげてください。それも、本を読んでいる途中で、流れをブチ切って考えてあげる。問いかけてあげる。それがおススメです。
だから、一緒に楽しんでください。楽しんじゃいましょう。エネルギーは使えば使うほど、湧いてくるもの。オトナってすごいんだぞ、それでも知らないことはまだまだあるんだよ。世界はすごいぞ、大きくなるって楽しいぞ。そう背中で見せてあげてください。