おにぎりの主人公であるお米。それはどこからきたのでしょう?「八十八」という字から、「米」という文字ができました。文字通り“八十八の手間”がかかる。それくらい、つくるのは大変。だから、お米一粒まで大切にしたい。絵本を飛びこえて、子どもに壮大な“ おにぎりの旅 ”を伝えてあげてください。正確な知識より、感じてもらうこと。リラックスして読んでもらえたら嬉しいです。
田植えはこーやってやるよ、こんな機械を使ってたりするよ。こんなふうに稲を精米して(稲の状態は、いつも食べているお米じゃないよね?)、こんなふうに運んで、お店に並んで、みんなが買って、やっと家に届くんだよ。そこから、洗って、炊いて・・・やっとおにぎりになる。すごいでしょう?と。
こんな大きい機械をつかったりもするんだね!すごいね。コンバインって言うんだって!稲を刈るお手伝いをしてくれる機械なんだって!これくらいが伝わればいいと著者は思っています。なにやらすごいんだな、機械とか登場するんだな。これだけで、世界は広がります。ちなみにコンバインは、これだけで刈り取り・脱穀・選別などができる便利な大型農業機具です。ぜひ外に出て、便利な機械たちを探す旅にでてみてくださいね。
+α
お米をつくる人だけじゃなくて、コンバインをつくる仕事の人もいる。機械を設計する人も、機械を売る仕事の人も。お米だけで、ものすごくたくさんの仕事と大人が関わっているんじゃない?そんなふうに、どんどん!どんどん!脱線して、想像して、世界を広げてください!
黄金色にかがやく稲穂が垂れ下がったら、タイミングをみて、稲刈りをします。いまはコンバインなどの機械を使って行うのが一般的。イラストのように人力でやるのはとっても大変。昔はこどもも一緒に手伝うのが当たり前、地域みんなでやるイベントでもありました。なんと昔はその時期がくると、「稲刈り休み」といって、学校が一斉に休みになりました。
玄米を白米にする作業のことです。稲から身の部分を外して、バラバラにした状態が籾(もみ)。⇒籾(もみ)から殻をとった状態(皮をむくイメージ)が玄米。玄米は身体にいいって人気ですね。⇒その玄米には「ぬか」がついているので茶色い。⇒そのぬかを削ってあげると・・・⇒白いお米になります。みんなが普段たべているお米です。この作業を精米といいます。
お米の色がかわっていく。白くするのはとっても大変。いまは機械でやるけれど、昔の人は道具を使って人力でやっていました。いつも食べているお米って、そのまま存在していたわけじゃないんだ。誰かが作ってくれている。誰かの仕事で、お米は白くなっている。
はたらくクルマ!トラックは基本的に、なにかを運んでいます。想像してみると、すごいこと。道路を走っているトラックすべてが、誰かのために、なにかを、どこかに、運んでいる。
お米も、飛行機かもしれない。船かもしれない。長距離トラックかもしれない。いちどどこかに集められて、そこからまた世界のすみずみまで届けられていきます。素晴らしき物流のロマン。いつも君がいく、いつもママがいく、パパがいく、スーパーでもお店でも、そこまでは誰かが届けてくれている。おにぎりの壮大な旅。お米だけでもこんなに壮大。
しゃけはどこからきた?これもまたミラクルな旅になりそうですね。
一番伝えたいのは、「パパより大きなクマ」が狩りをしてとって食べるしゃけも、みんなが食べるしゃけも、おんなじしゃけであるということ。地球で考えてみよう、同じ地球で生活している。だから、しゃけを残したらクマさんに怒られちゃう。あれ、ぼくが、わたしが、しゃけ食べすぎちゃったら、クマの食べる分がなくなっちゃう???
※「サケ」と「しゃけ」の呼び方の違いは諸説あるようですが、どちらでも問題ないようです。本書は「しゃけ」で統一します。
しゃけは、川で生まれて(魚卵はイクラ。なんと一回で1000個以上の卵を産みます!)、海に出ていって、海で大きくなって、また生まれた川に戻ってきます。これを母川回帰(ボセンカイキ)といいます。海に出て、また生まれた川に戻ってくるなんて、ロマンがありますよね。どうやって戻ってくるか?これは摩訶不思議。オトナがわからないことも、まだ世界には解明されていない不思議がたくさんある。※諸説あるようですが、一説によると「生まれた川のニオイ」を覚えているようです。
漁(りょう ページ右下)で取ったしゃけを陸にあげることです。水揚げは市場(お魚がたくさん集まるところ)がある港で行われます。たいていは、朝はやくに船が漁から帰ってきて、大漁のときは、しゃけが重すぎてクレーンを使って水揚げをします。迫力あるシーン、気になったら調べて画像や動画をみせてあげてくださいね。ドンッっと大迫力です。
食べ方、買い方によっては、しゃけは加工されたり、瓶や缶に詰められていますね。それはみんな、誰かが、どこかの工場で作業してくれているんです。もしかしたら、すごい機械が工場にはたくさんあるかも?みんなが安心して食べられるように、工場は、徹底して清潔にしてくれています。それも、当たり前のことじゃない。安心して食べることができるのは、誰かの頑張りのおかげですね。
お米のところでも話しましたが、物流のロマン、働くクルマのロマンはたくさん伝えてあげてください。文字通り、世界をつないでいる仕事ですから。さて、しゃけの場合は、加工しているかどうかにもよりますが、生鮮食品の場合、どうやって冷たいまま(鮮度を保ったまま)運んでいるのか?腐らないように、どう工夫しているのか?気になったら「コールドチェーン」という言葉を調べてみてくださいね。でも、検索より先に、まずは想像。知識よりも、想像してみる。自分だったらどうするか?質問してあげてください。
こういうこともぜひ、こどもに伝えてあげてほしいです。それは漁獲量(クマの話をしたけど、みんなが好きなだけしゃけをとってたべちゃったら、しゃけはいなくなっちゃう。それはクマも、ヒトも、しゃけも、地球のみんなが困っちゃうことだよね)を決めるのも、いつ船を出して漁に行くかも、市場をいつ開けるのかも、工場でいつどれくらい作るのかも、どうやって君の家のちかくのお店まで運ぶのかも、ぜんぶぜんぶオトナが真剣に話し合って協力しあって決めているということ。作戦会議をしているんだ!お話(コミュニケーション)しないと、ルールがないと、みんなで力を合わせることはできないから。みんなの見えないところで、たくさんの話し合いをオトナはしている。これもまた、仕事なんだ。
しゃけは、何千年も前から、古代から食べられていました。近代的な船なんてない時代から、ヒトはしゃけを狩ってきました。だったら、きみでもできるんじゃない?クマはどうやってとるかな?自分だったらどうやってとる?こんな会話が広がったら嬉しいです。銛でつくでも、網でとるでも、罠を仕掛けるでも、手づかみでも、なんでもありです。難しく考えるより、簡単に想像してみたほうが楽しいかもしれませんね。
しおどころ。今回はママお気に入りの“ヒマラヤ岩塩”の旅です。
ヒマラヤ!これは塩がとれる産地、ヒマラヤ山脈のこと。文中に「富士山より高い山」と出てきますが、ヒマラヤ山脈は、アジアの山脈で、地球上でもっとも標高が高い山脈です。富士山って、3776.24mですよ。ヒマラヤ山脈には、7,200m以上の山が100峰以上ある!しかも世界一のエベレスト(チベット語でチョモランマ!)もここ。約8,848mもの高さ、こちら、正確に測れないくらい高いので「約」とつけなくちゃならないくらい!ぜひこどもを車にのせて、9キロくらい走って「はい、家からここまでくらいがエベレスト。これを縦にした感じなんだぜ。」なんて遊んでみてください。恐ろしいまでのスケール。ヒマラヤ。そんなヒマラヤでとれた岩塩だなんて。そして岩塩ってなんだ?詳しくみていきましょう!
採掘です。その前に、岩塩ってなに?採掘するものなの?という疑問から答えていきましょう。
いち、じゅう、ひゃく、せん、まん・・・読者のこどもはどこまで桁を知っているでしょう?岩塩の単位は「億」です。なにかというと、岩塩というのは「海水の化石」だからです。恐竜の化石とかと一緒、海の化石みたいなもの。何万年、何億年前、の海水の化石です。ヒマラヤ岩塩がとれるところは、3億年以上前のものだとか。地球の神秘ですね。
採掘とは、掘って、取ること。そうなんです、岩塩は採掘するものなんですね。岩みたいなものを砕いて、製品にします。イメージだけでも伝えてあげてください。岩塩は色も様々、画像検索して、こどもと一緒にあれこれビジュアルを見て、お話してくれたら最高です。正確な知識より、ざっくりでいいので、一緒に想像を膨らませてみてくださいね。
遠い外国でとれたものは、輸出や輸入といって、みんなで移動させるためのルールを決めて、売ったり買ったりします。どれくらい買うの?どれくらい売るの?オトナはいろいろなことを考えて、たくさん話し合って、ルールを決めます。運ぶだけでも、大変なんです。遠い外国から、海を越えて、国境を越えて、みんなのもとに来るまでには、本当にたくさんのオトナの仕事が関わっています。
海をこえ、山をこえ、塩を運ぶ。そのためには、きみだったらどうする?想像してみて、なにで運ぶ?歩く?おとぎ話のように馬車かな?車は海を渡れないよね?泳いで人力だと思う?それもいい。だけど、飛行機や船で運ぶこともあるんだよ。そんな話をしてみてください。モノを運ぶためだけの飛行機や船だってある、貨物機・貨物船といいます。けっこうかっこいいので、調べてみてください。はたく乗り物は、かっこいいですよね。きみたちが知っている、お客さんを乗せる飛行機や船だけじゃ、ないんだぜぃ!コドモにとってはもう一つの世界ができるような、そんな瞬間かもしれませんね。
毎度おなじみ、トラックで運ぶ。飛行機や船で、ハブ(物流でいう中心になるところ。いったん途中で、荷物が集められて、そこから改めて再配送されます)に集まって、そこからすみずみまで運ばれます。
のりって、そもそも山のもの?海のもの?そんな「どこからきた?」の旅をはじめましょう。
白米と相性ばっちり、のり。日本の神話にも登場するほど、古代から親しみ愛されてきました。ちなみに、のりの語源はヌラ!ぬるぬるするという意味です。乾燥したのりだけじゃなく、ぬるぬるするようなのりもあるっていうのも、こどもにとっては発見かもしれないですね。
のりは、漢字で「海苔」と書きます。だから海のものですね。海藻です。
おにぎりに使うようなのりのほとんどは養殖で作られます。「ようしょく」ってなんでしょう?養殖っていうのは、ヒトが管理して、計画して、育てて、とることです。主に、水産生物に対して使う言葉ですね。自然にいて、つかまえて、食べるんじゃなくて。あさがおの種を育てるみたいに、のりをつくるオトナが必死に育てたものを、みんなは食べています。
のりの養殖は、まずのりの種(正確には胞子)を、貝殻(主にカキの貝殻など)にくっつける。そこで種(胞子)が大きくなるまで育てます。そのあとに、網みたいなものに大きくなったのりの種(胞子)をくっつけます。網にくっつけた状態で、海(養殖場)で育てます。すると、ぬるぬるののりのようなものができます!
海で育てたのり。網みたいなものにくっついているのり。それがじゅうぶんに育ったら、夜明け前~早朝(すごーく早起き)に、ポンプで吸い上げます!こどもには、大きい掃除機みたいなもので、吸うイメージといえばなんとなく伝わるでしょうか?すごいパワーで吸うんです。そのとき、のりはまだびしょびしょに濡れています。ぬるぬるです。海でとれるんですから、当然ですね。
いつもいくスーパーでは、ほとんどのものが、入れ物にはいっていないだろうか?箱に入っていないだろうか?実は裸で並んでいるくだものや野菜だって、運ばれてくるときには、段ボールなどに入っている。箱や缶、それをつくる人も、箱に書いてある文字を書くひと、絵を描く人、その箱や缶にモノを入れる人。全部オトナがやっています。働いています。すごいよね。どれだけの人が関わっているんだろう?のりも、ほとんどは袋や箱にはいっている。その箱や袋はどこからきた?当然、つくって、詰める人がいます。そのことを忘れないで。
おにぎりにまくのりは、乾いている?濡れている?乾いているよね。そうです。海でとれたのりは、びちょびちょ、ぬるぬる。それを、みんなが食べるのりみたいにする作業があります。みんなの服が濡れたとき、どうするかな?そうです。乾かします。布団や洋服みたいに、おひさまの光で乾かします。乾燥します。もちろん、乾燥機で乾かすこともあります。乾かして、カタチを整え、だんだんとみんながおにぎりにまく、のりになっていきます。
のり名人の登場ですね。のりは「買う場所(入札会)」に参加できる資格を持った人(のり名人!と呼んだらいいとおもうよ)が、本気の品定めをして、見極めて購入します。真剣勝負の場ですね。のりには、厳密な区分や等級があります。ランク付けがされているんですね。それはおいしさとは別の話。「すごい・ふつう・すごくない」など、そういった評価がされているんだーくらいをこどもに教えてあげてください。色(黒ければ黒いほどいい)や形(穴があいていなくて整っている)などで等級が決まります。